※以下は、ビットコイナー反省会(東さん)によって公開されたYouTube動画【WebXビットコインステージ振り返り】やはり日本にビットコインはまだ早すぎたのか!? の文字起こし&編集版です。
先週開催された WebX2025 が無事に終了した。
今回は、その中で自分が企画・運営を担当した「ビットコインステージ」を振り返りつつ、日本のビットコイン/クリプト市場が今どこに立っているのか、そして今後どこへ向かうのかを整理しておきたい。
結論から言えば、手応えと限界、その両方がはっきり見えたイベントだった。
WebX全体の印象:規模と熱量は想像以上
WebXはCoinPostが主催する、日本最大級、アジアでも有数のWeb3/クリプトカンファレンスだ。
今年で3回目の開催となるが、来場者数は1万人超。初日には長蛇の列ができ、全体としては非常に大きな盛り上がりを見せていた。
特に印象的だったのはブースエリアだ。想像以上に人が集まり、各プロジェクトの展示やデモは終始活況だった。
この点だけを見れば、「日本のWeb3熱はまだ十分にある」と感じる人も多かったはず。
ビットコインステージの現実:想定より厳しかった集客
一方で、今年初めて設けられたビットコインステージはどうだったか。正直に言えば、人の入りは想定よりも良くなかった。
もちろん、WebX自体が広義の「クリプト」イベントであり、今年から始まったビットコイン特化ステージに、他ステージと同等の集客を期待していたわけではない。
それでも、「もう少し来てもらえるのではないか」という期待を下回った、というのが率直な感想だ。
理由は複合的だと思う。
- 事前告知・導線設計の問題
- セッションテーマの難易度
- オーディエンスの関心の所在
どれか一つではなく、すべてが影響していた。
盛り上がった例外:ディベート形式はやはり強い
ただし、すべてが静かだったわけではない。
最も盛り上がったのは「ビットコイントレジャリー企業は是か非か?」というディベートセッションだった。
肯定派・否定派に分かれ、
- 肯定派
- 否定派
が明確な立場を取って議論する形式にしたことで、
- 論点が分かりやすい
- 観客が感情移入しやすい
- 立ち見が出るほどの集客
につながった。
ここから分かったのは、テーマ次第では、ビットコインステージも十分に盛り上がる余地があるということだ。
英語セッションの壁:内容と集客は別問題
意外だったのは、内容的に非常に濃いはずの英語セッションが、あまり人を集められなかったことだ。
たとえば、
- 米国政権がビットコインとクリプトをどう区別して見ているか
- SBR(戦略的ビットコイン準備)をどう捉えているか
といった、現場に近い視点の話があったにもかかわらず、集客は限定的だった。
これはビットコインステージ特有の問題というより、WebX全体に共通する傾向でもある。
- 日本語セッションの方が明らかに人が集まる
- 有名人・著名スピーカーの登壇セッションに人が集中する
という現実が、改めて浮き彫りになった。
Web3業界とビットコインの「価値観のズレ」
今回、運営側として内部に入り、改めて強く感じたのは、日本のWeb3/クリプト業界と、ビットコイン界隈の価値観の違いだ。
Web3業界は、
- 有名人
- プロジェクトの顔
- 中央集権的なリーダー
に人が集まりやすい。
一方、ビットコインの思想は、
- 特定のリーダーを置かない
- プロトコル重視
- 地味で長期視点
という真逆の性質を持つ。
このズレが、そのままオーディエンス動員の差として現れていた。
事業者視点で見ると、風向きは確実に変わっている
ただし、ここで重要なのは、オーディエンスと事業者は別物だという点だ。
裏側で多くの事業者と話して感じたのは、
- ビットコインに悪い印象を持っているわけではない
- ただ「one of them(選択肢の一つ)」として見ている
というスタンスが非常に多い、ということだった。
数年前までは、
- 独自トークン
- スマートコントラクトチェーン
だけを見ていれば十分、という空気が強かった。
しかし今は違う。
「ビットコインは無視できない存在になってきた」
この認識は、事業者レベルでは確実に広がっている。
日本はまだ「分離フェーズ」に留まっている
米国ではすでに、
- ビットコイン=戦略資産
- クリプト=トークン化・RWA・ステーブルコイン
という明確な役割分担が進んでいる。
一方、日本ではまだ、
- クリプトの一部としてビットコインを見る
- ステーブルコインがあれば十分では?
という段階に留まっている印象が強い。
ただし、これは必ずしも悲観すべき話ではない。
分離したからこそ、次は「選択的に接近する」段階へ
重要なのは、分離は終点ではなく、次のステップへの準備段階だということだ。
ビットコインが明確に独立したアセットとして認識されたことで、
- 価値保存
- 決済基盤
- エコシステム構築
を、腰を据えて考えられるようになった。
そして今、次の段階として、
- ビットコイン上のステーブルコイン
- ライトニングを使った送金
- クリプト事業者によるビットコイン採用
といった戦略的オーバーラップが現実味を帯びてきている。
まとめ:日本は遅れているが、可能性は消えていない
今回のWebXを通じて見えたのは、次の現実だ。
- オーディエンスレベルでは、まだ関心は限定的
- 事業者レベルでは、「そろそろ無視できない」という認識が拡大
- 米国に比べ、日本は一段階遅れている
- しかし、その分キャッチアップ余地も残されている
日本にビットコインは早すぎたのか?答えは単純ではない。
ただ一つ言えるのは、
「遅れている=不要」ではない
ということだ。
次のフェーズは、分離したまま終わるのではなく、意味のあるところで接続していくこと。
その設計をどう描くかが、これからの日本にとっての本当の課題になる。




